続エミリーと渋谷でデートした(emily3)

続エミリーと渋谷でデートした(emily3)

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ちぇっ パティシエの元カレってなんだよ!

エミリーが「あなたのそのエピソードは好き。素敵ね」と評した、プランタン銀座で『ライ麦畑でつかまえて』を買った話をしたあと、僕らはお薦めの本なんかを互いに紹介し合ったり、観た映画を言い合ったりした。

「ぼくはこないだ、フランス語の授業で、エマニュエル・ベアールの『エレベーターを降りて左』を観たよ。そのフランス語のクラスの先生は、若くてキュートで、なんとなくエマニュエル・ベアールに似てるんだ。ぼくのことを『ナ・リ・タ・君』って呼ぶんだよ。
『ナ・リ・タ・君、どうして私のクラスで法律の本開いているのかしら?』
とかってね(*)。そう、ぼくは君と同じクラスになると思って、第2外国語フランス語って書いて願書出したからね」エレベーターを降りて左 [DVD]

 *ちなみに、このフラ語の先生とは、大学卒業してからも付き合いがあって、ときどきデートする(フランス料理とか地中海料理とかを食べに行くのだ)。それで「今日美容室行ってきたんだけど失敗しちゃった。もう、なんか変でしょ?」「ぼくとのデートのために美容室行ったの先生?髪、素敵ですよ。超似合ってます」「もうーっ。あなたほんっとに慶應ボーイね。私が思ってたとおりだわ(´ε` )」って会話をすることになってる。

「そうだったわね
     私もその映画見たわよ。前つき合ってたパティシエの彼と、ビデオで」

(あれ、ぼくはここで、ひとりで慶應受けた話に向かうかなと思ったんだけど…ていうか、今なんて言った?『前つき合ってたパティシエのカレ』だって?)

元カレと聞いて微妙にくもったぼくの表情をみて、ちょっと弁解するように

「パティシエっていいわ。ケーキはおいしいし、ラクだもん。相手が忙がしいから」
と言った。

なんだよそれ。

ケーキがおいしいかどうかはパティシエによりけりだろうし、
忙がしいかどうかもパティシエによりけりだろうよ。忙しくないパティシエだっているだろ。

それになんだ? ラクって。忙しいから? なにそれ。忙しいからあまり会ったりしなくていいからラクって意味?
会わない方がラクでいいっていうんだったら、付き合わなきゃいいじゃんかよ!

ボーイフレンドがいたってだけでもショックなのに、べつに付き合う必要ない相手と付き合ってたってこと?うう…

「あのさ、楽だという理由で男の人とつき合うのとかやめていただきたい」

やっとのことで、これだけ言った。

「なんでそんなこと言うの?

「そんな理由でつき合ってほしくないから」(ムダにやられたくないからだよ!)

「答ずれてるわよ、あなた。
   私は、なんであなたがそんなこと言うの、ときいたの。ナ・リ・タ・君!」

20年以上経った今ははっきりわかる。

ぼくはバカだった。

どうして
「君が好きだからだよ!」
って言わなかったんだろう。彼女はそれを言わせようとしているじゃないか。明らかに。

バカなのか、オレは。

ぼくは子どもの頃からずーっと一貫して彼女のことが大好きだった。こんなに長く知っている友人は他にいないくらいだし、結婚するなら知り尽くしてる(今思えば何ひとつ知り尽くしてなどいないんだけど) 彼女以外、考えられないってずっと思ってた。

それでぼくは、なぜか勝手に、彼女はぼくのそういう思いを当然知っているはず、と思っていたけど、実は気持ちを伝えたことは、小学5年生の時の1回だけ。

だけどそれって、彼女がクソ生意気な女だったせいで、ぼくもスカして接せざるを得なかったからだ。

「ちえっ」

ってぼくも言いたくなるぜ。

ちぇっ の正しい使い方は、こういうのだろう。

やっぱり、サリンジャーは間違ってる。(エミリーも)

つづきは

ナリタマトコの究極の記憶法(emily4)

彼女のことをエミリーって呼ぼう(emily5)

エミリーとホテル入る誘い方考えてみた(emily6)

あれは究極のデートだったことに気がついた(emily7)

冷静と情熱のイツカ(emily8)

最後にエミリーへ(emily9)

本ポストは

ぼくが法学部法律学科ではなく法学部政治学科に入学したヒミツ(emily1)

エミリーと渋谷でデートした (emily2)

のつづきだよ。[/three-fourths-first][one-fourth]..[/one-fourth]

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